2014年6月21日土曜日

合法マリフアナで沸くペニー株市場、取り締まり警告後も宴続く

合法マリフアナで沸くペニー株市場、取り締まり警告後も宴続く

  6月20日(ブルームバーグ):常に時代の最先端を目指すミルケン・インスティテュートだから、4月にロサンゼルスで同社が主催した討論会でマリフアナ投資の公開討議が開かれても誰も驚かなかった。
討議を仕切ったマイク・ザポリン氏はかつて、マイケル・ミルケン氏が「ジャンク債の帝王」として君臨したドレクセル・バーナム・ランベールで実習生として働いたことがある。ザポリン氏は自らのニックネームを企業名にして起業したマリフアナビジネス会社のザッピーについて語った。ブルームバーグ・マーケッツ誌7-8月号が報じている。
この公開討議にはマリフアナ水耕栽培を手掛けるグロウブロックス・サイエンシズ社を設立したクレイグ・エリンズ氏も参加。同社が開発した屋内水耕栽培システムの長編CMを上映した。ディジパス社のトッド・デンキン氏はマリフアナ販売店で働く調合師を養成する計画について熱弁を振るった。
3人はいずれもグロウライフ(カリフォルニア州ウッドランドヒルズ)で働いたことがある。グロウライフは2011年にデービッド・ウェイナー氏が出資した赤字企業だ。同氏は04年以来、グロウライフのようなペニー株(超低位株)企業、少なくとも5社に投資している。
これらのペニー株はどれも急上昇した後で急落したが、ウェイナー氏(57歳)は確実に利益を手にしている。同氏を22年前から知っているというエリンズ氏によると、ウェイナー氏はロサンゼルス、ウィルシャーブルバードの高級コンドミニアムに暮らす。不動産登記によると、ラスベガスにもMGMグランド設計のコンドミニアムを3件所有。サンタモニカのビーチの住宅を330万ドル(約3億4000万円)で購入した記録もある。
投資家の群れ
「普通の人たちがコインを売買するように、自動車を買っては売ることを繰り返していた」とエリンズ氏はウェイナー氏について振り返る。「彼にとってはおもちゃと一緒だ。高リスクと高利益を追求する男だ。彼がお金を貸すのは大抵、そこが他の誰からも借りられない時だ」と述べた。


ウェイナー氏はグロウライフで、マリフアナに関連する商品なら何でも買い急ぐ米投資家の群れに加わった。米国では現在、22州と首都ワシントンDCで医療目的のマリフアナ販売が認められている。嗜好(しこう)品としてのマリフアナの販売はコロラド州とワシントン州で合法化された。
前述のザポリン氏はコンファレンスで、「500億-1000億ドル規模の産業が今、芽生えつつある」と述べた。
「ペテン師や食わせ者ばかり」
米国には現在、少なくとも130の株式公開企業がマリフアナ関連の事業を営んでいる。これらの株式のほとんどは1株当たり5ドルに満たない、米証券取引委員会(SEC)が定義するところのペニー株であり、大抵は店頭市場で取引される。マリフアナ関連ビジネスに投資するプリバティア・ホールディングスのブレンダン・ケネディ最高経営責任者(CEO)は、こうした株式公開企業を敬遠している。
「ペテン師や食わせ者ばかりだ。大抵は価値がゼロになるだろう」と理由を述べた。
他の投資家は一向に気にしていないようだ。OTCマーケッツ・グループによると、ペニー株取引のうちマリフアナ関連株が15%を超えることもある。こうした株式の時価総額は2012年9月の時点で5億ドル程度だったのが、今年5月30日の時点では70億ドルを超えるまでに膨らんでいる。
強欲の戒め
「小型株詐欺」を取り締まる特別タスクフォースを昨年設けたSECは、こうした成長著しいマリフアナ関連の株式公開企業に目を付けた。今年5月には、企業名こそ明らかにしなかったものの、「最新のイノベーションやテクノロジー、商品、成長産業が詐欺のネタになることはよくあるが、今回はマリフアナを材料に高いリターンを約束し、投資家を誘い込もうとしている」との声明を出し、強欲を戒める警告を発した。
今年に入り、マリフアナ関連の公開企業8社の株式取引が停止された。グロウライフもその一つで、4月10日から2週間、売買停止となった。SECは「市場に行き渡っている情報の正確性と適切性、および株価操縦的取引が行われる可能性」が問題視されたためだと説明した。

当時グロウライフの最高経営責任者(CEO)だったスターリング・スコット氏は、売買が停止される前日の4月9日、自社株570万株を290万ドルで売却した。同氏の妻は同月8日に780万株の売却を申請している。同氏は5月22日に辞任した。
ペニー株を投資家に買わせるためには、プレスリリースやリサーチリポートが活用される。リサーチリポートの中には当該企業が金を払って書かせたものもある。デイトレーダーらはこうした情報をインターネット上の掲示板やツイッターで共有し、どの銘柄が有望か意見を交換する。こうした投資家クラブ、アークビュー・グループのスティーブ・デアンジェロ社長によると、投資家のマリフアナ崇拝は非常に強く、プラス材料なら何にでもすぐに飛びつく。
1206%上昇
「この産業の成長を支えたいと考えている小口投資家は多く、食い物にされてしまう可能性がある」とデアンジェロ氏は指摘。「本当の意味でのビジネス活動はほとんどなさそうだ」と述べた。
グロウライフの株価は3月17日までの1年間で1206%暴騰し、77.7セントでピークを付けた。このブームはSECによる株式売買停止で幕を閉じた。売買停止の前日に50.2セントだった株価は、売買を再開した時には21セントだった。5月30日の価格は14セント。
ウェイナー、スコット氏の名前はいずれもSECによる売買停止の文書で言及されていない。両氏とも不正を非難されておらず、制裁を受けてもいない。
両氏とは対照的に、エリンズ、デンキン、ザポリンの3氏は表舞台に出るのを好む。未成年の麻薬乱用防止を訴える団体のスー・ルーシュCEOは、討論会に登壇した時の3氏の様子について、「3人とも、きょうはマリフアナ産業にとって素晴らしい日だと語っていた」と述べた。マリフアナ株のプロモーションは変わらず続いている。
原題:Legal Pot Sets Off Penny Stock Frenzy as Investor WeinerProfits(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ポートランド Anthony Effinger ;ニューヨーク Zeke Faux ;ニューヨーク Katherine Burton ,aeffinger@bloomberg.net,zfaux@bloomberg.net,kburton@bloomberg.net
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