経営者次男が直前200万円引き出し、逃走資金か 覚醒剤使用で保釈中、収監予定日に犯行
和歌山市塩屋の土木建設会社「和大(わだい)興業」で、男性従業員4人が拳銃で撃たれ、1人が死亡した事件で、和歌山県警和歌山西署捜査本部が殺人、殺人未遂容疑で逮捕状を取り、全国に指名手配した同社代表取締役の次男、溝畑(みぞばた)泰秀容疑者(45)が事件直前、金融機関の口座から200万円程度を引き出していたことが30日、捜査関係者への取材で分かった。捜査本部は、現金を逃走資金にあてているとみて詳しい足取りを調べている。
捜査本部によると、溝畑容疑者は29日朝、同社事務所内で持っていた拳銃を発砲し、従業員の石山純副(じゅんすけ)さん(45)を死亡させ、幸前啓喜(こうぜん・はるよし)さん(44)を意識不明の重体とするなど計4人を死傷させた疑いが持たれている。
捜査関係者によると、溝畑容疑者は同社の実質的な経営者。覚せい剤取締法違反(使用)の罪で逮捕、起訴され、今月上旬に懲役1年4月の実刑判決が確定していた。保釈中だったが、犯行日の29日中に収監される予定だったという。
事件直前には、溝畑容疑者が金融機関の口座から200万円程度を引き出していることが確認されたという。このため捜査本部は、溝畑容疑者が事件後の逃走が長期化することを見越し、入念に計画して犯行に及んだ可能性もあるとみている。
一方、捜査本部は30日午前、死亡した石山さんの死因について、司法解剖の結果、心臓を撃たれたことによる出血性ショックだったと明らかにした。