小6大麻、薬物が安易に ネットで入手「たばこの延長」
小学6年の男児のほか、京都市内の高校生の逮捕者が5人に広がった大麻取締法違反事件。次第にその使用実態が明らかになり、安易な気持ちで薬物に近づく若者たちの生活環境の改善や、徹底した乱用防止教育が急務となっている。
捜査関係者によると、府警が9月に同法違反容疑で、山科区の高校3年の男子生徒2人を逮捕するなどした事件で、京都府立高校生を含むグループの十数人への聴き取りの結果、ほぼ全員が吸引を認めた。吸引回数は興味本位からか1回だった生徒もいれば、最大で約30回の生徒や「数え切れないほど吸った」と供述した生徒もいたという。
グループ内ではスマートフォンの無料通信アプリLINE(ライン)で、隠語で薬物情報をやりとりしていた。さらに、府警の調べに複数の生徒が「覚せい剤やたばこほど依存性がない」とインターネットなどで得た情報をうのみにしていたと説明。健康被害には無頓着で、多くが「友達がやってるから」と安易に手を出したことを認めたという。
刑事法が専門の同志社大の川本哲郎教授は11日、上京区であった薬物乱用防止シンポジウムで、「危険ドラッグの法規制が強まり、大麻の使用者が再び多くなっている」と指摘した上で、「スマートフォンの普及などで大麻が簡単に入手できるようになり、たばこの延長で手を出す若年層がいる」と警戒を呼び掛けた。
こうした状況に、保護者たちも「人ごとではない」と、身近な問題としてとらえ始めた。同日、中京区での市PTA連絡協議会の常任理事会では、事件が緊急の議題に挙がり、保護者たちは「小学校高学年になると、親より友達や兄弟の影響が強くなる」「上の子に使用者がいれば、小学生でも(大麻吸引は)起こりうる。危機感を持たないと横のつながりでまん延してしまう」と口々に述べた。
小5の長男がいる新家忠弘さん(43)=山科区=は「現場は学校でなく地域や家庭であり、親はまさに当事者だ。学校任せの風潮があるが、親が身近な問題と認識を改めないといけない」と厳しい表情を見せた。
市教委も11日、校長会を開き、学校と家庭、地域との連携強化を求めた。市教委は市内の3割ほどの小学校しか開催していない薬物乱用防止教室を、全小学校で行う方針だ。府教委も「高校のみの問題ではない。小学校段階からの一貫した薬物防止の取り組みを考えるべきだ」(高校教育課)と、対策を練り直す必要性を認めた。
薬物問題に詳しい小森栄弁護士は、薬物使用以前の段階で歯止めをかけるべきと指摘する。「まず親が子どものたばこや酒を許さない毅然(きぜん)とした態度を取ることが大事だ。学校は飲酒や喫煙の習慣がある子どもに的を絞った対策も考える必要がある。生徒が学校にきちんと通うよう、生活態度を立て直すところから始めるべきだ」と話した。
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